がん治療サバイバーMikiさんの101人目の名医が主治医

がん宣告から治療と治療中断とそれからそれから…101人目とは?

追憶

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影響があったかも…のお話し。


42日間の入院で


わたしのベッドのお隣は


御高齢の方になった


私は血管が細く


その方も細く


夜中、


点滴の管を外してしまうらしかった


その都度


看護師さんにお叱りの言葉を


受けていたのがよく聞こえ


見てなくても


その惨状は目に浮かんだ。


だが昼間はにこやかに挨拶を交わし


私のリハビリの先生に訴える


『動かさないから


動けないのですよねー。』


の声を聞き


何か感じられていたかも…。


その方もリハビリの時間は


先生の声がかかると


痛いとは言いながらも


こまばず


積極的に


動かれるようだった。


一度声をかけてみた。


『すごいですね。


私は寝てばかりだったから


腰やお尻が痛いんですよ。』


すると


その方は


故郷の話、ここへ来る前の話、


亡くなられた御兄弟の


遠い記憶の中の


新しいまざまざとした追憶を


話される。


私は大きくうなづくきながら


その方の斜め前でジッと立ち


30分ほど聴いていたと思う


『私はおばあちゃんだけど


いいわね、あなたは、お若くて。』


とおっしゃるけど


その瞬間の微笑みが


とても可愛いと思ったので


『失礼かもしれませんが…


こんな可愛い笑顔をされる方なので


年齢は関係ないと思います。


素敵ですね。』


と言い


両の手を差し伸べて


握手していただいた。


すると前より大きく微笑まれ


にこやかに笑った。


そして何日か過ぎ、


私の文字練習に使っていた


あいうえお帳の2冊目を


思い切って


差し上げてみた。


もちろん病院なので


看護師さんに確認した後に。


『今、私の使っているものと


同じなので良かったら


使っていただけませんか?』


と尋ねると


快く受け取ってくれた。


その頃にはその方も


車椅子でナースステーションへ


行くようになっていたので


私はふと


覗いて見てみた。


すると


ノートを使って


色を塗っているのが見えた。


(あ…使って下さってる。良かった。)


しばらくして


私の退院が決まると


なんとその方も


私の1日後に


退院が決まったようだった。


(お話し、したいな。)


その方は


元居た施設に戻るらしかった。


そして故郷の話、戦争の話、


御兄弟の話…前の時と同じだった。


やはり


亡くなられたお兄様の話では


お辛そうに


『自分は病気ばっかりして、


こんなに生きちゃって


つらい…』


と、話すから


『お兄様はずっとずっと


見守っていらっしゃいます。


こんなに笑顔が素敵な方…


きっとずっと


お側にいらっしゃいます。


お兄様の分まで


どうかもっともっと


お元気にお過ごし下さいね。』


と言い


握手して下がろうとしたら


『あなた、名前、


どちらにいらっしゃるの?


またきっと逢えるわよね…』


そう丁寧におっしゃるので


『もちろんです‼︎


私も頑張りますから


頑張りましょう‼︎』


私と同時期にリハビリを始めた


その方は90代…


とても素晴らしい回復力


当初誤嚥も見受けられたが


自身のペースの食事、


周囲の方とのユーモア交えたお話、


出来る範囲での移動など


退院時はすっかり良くなられて


私より回復力はずっとずっと


上だ。


影響は


一方ではなくて


私であり


その方であり


きっと双方であったのだと思う…。